【獣医師が教える】ワクチンだけじゃない犬猫の予防すべきこと5選!

わんちゃんやねこちゃんは、近年「家族」とも呼ばれ、動物界の中でも高齢化が進むどうぶつさん。長く、健康的な生活を一緒に送れるように「健康寿命を延ばす」という考えが動物業界でも注目されています。この健康寿命を延ばすということには、「予防」をどこまで抑えるか。ということが大事でしょう。
この予防には、ワクチンやノミマダニなどの予防を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、実は予防には「5つ」の予防に分類されます。

ワクチンによる感染症予防

犬のワクチンは8種類、猫のワクチンは7種類に分類されます。

犬のワクチン

義務ワクチン

わんちゃんのワクチンでは、狂犬病ワクチンが義務化されています。こちらは、かかりつけ獣医師の判断で「延期」することはできますが、「ワクチンを打たない」という選択肢はありません。

犬の飼育には、飼い始めてから30日以内に市区町村での飼育登録が必要となります。登録をしたわんちゃんには、それぞれ登録番号のついた「鑑札」が渡されますので、わんちゃんに身につけるようにしましょう。
また、この登録に基づいて、狂犬病接種のお知らせのハガキが毎年4ー6月に登録の住所に届くようになります。

それぞれ選択するワクチン

わんちゃんの感染症を予防するワクチンは、生活スタイルなどで打つべき種類が変わってきます。当院では、5,6,7,10種を用意しています。詳しくは、当院へ問い合わせくださいね!

犬混合ワクチン分類

猫のワクチン

一方で、猫は犬の狂犬病のような義務的なワクチンはなく、感染症予防のワクチンとなります。

 猫混合ワクチン分類

ノミダニ、フィラリアなど予防薬による予防

いろいろな予防薬が販売され、動物病院でもどの種類がいいか迷うこと多いですよね。
年々、さまざまなメーカーから予防薬が開発され、新たに販売されています。

定期的なモニタリングによる早期発見

定期的なモニタリングとは、大きく2つに分かれます。

おうちでできるモニタリング

おうちでできるモニタリングは、定期的なモニタリングの要となります。
病院で行うモニタリングは、あくまでも数値的や画像的、獣医学的に分かるもので判断することが多いですが、おうちでできるものは普段からの観察に基づく「違和感」や「気づき」によるものです。

おうちでできるモニタリングの例
  • 元気や活動性
  • 食欲の有無、食事の内容
  • 排尿や排便の様子(色、形、匂い、回数)
  • 皮膚や体表のチェック(しこり、色や傷など)
  • 生活環境の変化や食事の変更などの記録

普段の生活で行う、撫でたり、遊んだり、歯磨きやブラッシングなどのケア時に一緒になんとなくチェックしておくことをおすすめします。
可能であれば、飼い主様を含めた生活環境の変化は、何かしらの症状が出た時のトリガーとなりうるポイントですので、カレンダーや飼い主様の日記などの記録とともに愛犬の様子を記録しておくといいかもしれませんね!

病院で行うモニタリング

いわゆる健康診断です。
健康診断は、下記のようなものでプランを選択することをおすすめします。

健康診断のプランを選ぶ際に考慮する例
  • 動物種、品種、年齢、避妊去勢済みかどうか
  • 既往歴、持病や基礎疾患、続いている症状
  • 体調やおうちでの様子、気になることの有無

犬や猫、それぞれ患者ごとに健康診断の内容や頻度を分けましょう。それぞれの愛犬や愛猫が、どのリスクがあるのでどこまで検査をしておくのか。しっかり獣医師と話し合った上で決めることをおすすめしますよ!
当院では、触診や聴診、視診などの一般診察から尿検査や糞便検査、血液検査などの検査を組み合わせた健康診断プランがあります。今後は超音波エコーなどのより多くの検査機器を導入し、それぞれの患者に適した健康診断プランもどんどん増やしていく予定ですので、都度お問合せくださいね!

トレーニング、生活環境での予防

こちらは、案外飼い主様の中で見落としがちな、事故やケガを防ぐ大切な予防です。主にトレーニング(しつけ)によって愛犬や愛猫をコントロールし、

トレーニングによる予防

「しつけやトレーニング」となると、「うちの子は家にいるだけなので必要ありません。」「家族なので嫌ことはさせたくないです。」というお言葉をいただくことがあります。当院では獣医学や動物行動学、生態学的観点からも、愛犬や愛猫を含めた家族と幸せな生活をしていく中で、「トレーニング(しつけ)」は必要なものがあると考えています。必要最低限のトレーニングは、下記の項目です。

身につけておきたいトレーニング項目(犬)
  • アイコンタクト
  • おすわり、待て、おいで
  • ちょうだい(離せ)
  • 歯磨き
  • ブラッシングやその他ケア
身につけておきたいトレーニング項目(猫)
  • 全身マッサージや体を触ること
  • ブラッシングや歯ブラシなどのケア
  • 投薬、点眼など
  • ゲージやキャリーケースなどに慣れておく

備える予防

こちらは、備える予防です。大きく分けると、災害対策、損害賠償の対策、相続や後見人などの備えなどがあります。

災害対策

犬や猫、多くの人が「家族」と近年大きくペットを取り巻く環境や生活様式が変化してきました。東日本大震災等でペットの存在で避難が遅れた状況がありました。そこから、各自治体でもペットと避難できる避難所の設けなどの対策が進んでいます。
住んでいる地区では、ペットと避難できる状況でしょうか?また、基本的なしつけやワクチン等の接種歴などの証明書などの管理は大丈夫でしょうか?ここでもワクチンやしつけなどの予防が関わってきますね。
飼い主様がチェックしておきたい災害対策事項は下記のとおりです。

災害対策
  • 日常のしつけと健康管理、ワクチンの接種など
  • マイクロチップやワクチン証明書などの書類の管理
  • 避難経路の確認(安全な避難方法、経路、避難場所の確認)
  • ペットの防災用品の備蓄(ペットフード、トイレ、水、常備薬、キャリーケース)
  • 預け先の確保(万が一の際の預かってくれる知人や親戚など)

損害賠償の対策

放し飼いのわんちゃんやノーリードで散歩していたわんちゃんが、人や物を噛んだり壊したりしたケースで損害賠償を求められるケースがあります。また、ねこちゃんで関係ないと考えている方も関係なくはありません。外に出る習慣のあるねこちゃんが、近隣住民に被害を及ぼしたり、車などの物に傷をつけたことで、損害を求められたケースもあります。十分に管理していくことも、飼い主様の責任に当たります。
万が一損害責任を負った時のために、「個人賠償責任保険」という保険商品の対象となる場合があるので確認しておきましょう。ペット保険だけでなく、自動車保険や火災保険、クレジットカードのゴールドカードクラスにはついている場合があります。

相続や後見人、万が一の世話してくれる人や施設を探しておこう

近年、高齢社会となった日本では、「高齢者飼い主、高齢ペット問題」というものがあります。この問題は、飼い主の高齢化に伴って取り残されているペットがいるという問題です。また、近年では新型コロナウイルスで陽性になった方が、入院する際にペットの世話ができないということで、入院を拒否した。などの問題も発生していました。
それらの解決方法として、ペットと一緒に入居できる介護施設やペットの世話をすることを条件に遺産を贈与する「付帯付遺贈」、また必要な際にペットの世話を頼むことができるペット信託などのサービスが出てきています。
当院の院長は、保健所で勤めていた経歴もあり、現在も保護団体等へ往診の協力をおこなっている中で、「飼い主様に取り残されたペットたちの末路」というものをよく目にしてきました。おうちの中でも、ペットが先に逝くという保証はありません。飼い主様自身も健康的な生活を送る心がけと、万が一に備えるために身の回りの知人や親戚、難しいときはサービスを使って、飼い主という責任を持っておきたいですね!

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おうちdeペットクリニック
おうちdeペットクリニックは、福岡県の往診専門動物病院です。 おうちから始まる人とどうぶつの健康生活をテーマに、一般診療だけでなくケアや終末医療など、飼い主様のご自宅でできること全てをサポートしていきます。 往診予約や問い合わせは、LINEから!