【獣医師執筆】犬猫の緩和ケアについて考えよう

犬猫の緩和ケアは、以前の「治療手段がなくなってから行うもの」という考え方から、「治療と同時に行っていくケア」として考えが変わってきています。
当院では、多くの皆様から緩和ケアのご相談をいただくことも多く、皆様のご家族の最期を一緒に支えていきたいという思いで、緩和ケア・終末医療を行っています。

緩和ケアとは

世界保健機関(World Health Organization:WHO)での定義は下記のとおりです。

緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し、的確に評価をおこない対応することによって、苦しみを予防し、やわらげることで、QOLを改善するアプローチである。

https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/palliative-care

辛さや苦しみを予防し、和らげることがとても大事なポイントです。

緩和ケアのタイミング

緩和ケアは、「動物病院で行う治療がなくなった」、「もう動物病院から治療の手段がないと言われた」という、「治療がなくなってからの手段」という考え方ではなく、
「治療とともに、痛みや苦しみを予防・和らげる」という考え方に切り替わりつつあります。

治療の選択肢の中に、「痛みや苦しみ」なども考えていこうね。って形です。

緩和ケアの対象

緩和ケアの対象となるのは、ケアを受ける「どうぶつさん自身」であるのはもちろんのこと、「ご家族の皆様」も対象となります。

どうぶつさん自身の身にどのような状況であるかをご家族みんなで把握し、どう支えていくのか、これから「最期」をどう迎えていきたいか。
というのも、緩和ケアの中に含まれます。

当院では、営業時間は幅広く、1家族ごとに充分な時間をとって診察にあたっています。
ご家族が揃った夜に一度話をしてほしい。
今の状況、これからできることを教えてほしい。
家で気をつけることを教えてほしい。
葬儀の場所、方法を教えてほしい。

たくさんのご相談をいただきます。
当院の公式LINEでのチャットは無料で相談できますので、気になる方は活用してくださいね。

緩和ケアの対象疾患

がん
慢性的な心臓病、心不全
COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管虚脱、喘息などの呼吸器疾患
慢性腎臓病、腎不全、その他尿路疾患
神経疾患
認知症
麻酔治療が難しい歯周病や歯肉炎などの口腔内疾患
高齢での下痢や嘔吐
高齢での食欲不振
など

緩和ケアといえば、「がん」のイメージもありましたが、今では心臓や腎臓、呼吸器疾患をはじめとし、高齢期での症状などにも需要は高まってきています。

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